Q&A
Q&A

Q1
結晶質シリカと非晶質シリカとの違いは何ですか︖
結晶質とは、結晶構造(結晶を構成する原子、イオンあるいは分子が三次元の規則的な周期性をもって配列し空間格子を形成しているもの)を持つ固体物質をいいます。これに対し、非晶質とは、原子(または分子)が規則正しい空間的配置を持つ結晶をつくらずに集合した固体状態をいいます。

結晶質シリカは結晶構造をもつ二酸化ケイ素の総称であり、天然の鉱物として、それぞれ結晶構造の異なる、石英(クォーツ)、クリストバライト、トリジマイトなどが該当します。一方、非晶質シリカは非晶質の二酸化ケイ素の総称であり、天然の鉱物として珪藻土、パーライトなど、工業製品としてシリカゲル、沈降シリカ、シリカフュームなどが該当します。
Q2
珪藻土は、(化学)物質ですか、混合物ですか︖
混合物ではなく,(化学)物質です。

JIS Z 7252「 GHS に基づく化学品の分類方法」 の定義によれば、化学物質(substance)は「天然に存在するか,又は任意の製造過程において得られる元素及びその化合物。(中略)“化学物質” は,“物質” ということもある」 とあり、混合物(mixture)は「 互いに反応を起こさない二つ以上の化学物質を混合したもの。(略)」 とあります。

珪藻土は、天然の鉱物を採掘し、これを精製・加工処理して得られた、さまざまな元素やその化合物からなる「物質」であり、他の物質を人為的(意図的)に混合した「混合物」ではありません。珪藻土のような鉱産物や植物油脂などは、一般にUVCB*、すなわち「組成が未知又は不定な構成要素を持つ物質,複雑な反応生成物又は生体物質」というカテゴリーの物質に分類されます。EUの化学品規制当局である欧州化学品庁のサイト** には、化学品の分類が次のように明確に示されています。
UVCB については、OECD 発行のガイダンス*** に詳細が述べられています。
* substances of Unknown or Variable composition, Complex reaction products or Biological material (UVCB substances, or UVCBs)

** 欧州化学品庁(ECHA︓European CHemical Agency)
https://echa.europa.eu/support/substance-identification/what-is-a-substance

*** GUIDANCE ON GROUPING OF CHEMICALS, 2nd EDITION
http://www.oecd.org/officialdocuments/ publicdisplaydocumentpdf/?cote=env/jm/mono (2014)4&doclanguage=en
Q3
珪藻土はアスベスト(石綿)を含んでいるのですか?
いいえ、珪藻土はアスベストを含んでいません。

珪藻土とアスベストとは、生成過程が異なる、全く別の物質です。珪藻土は、珪藻という生物に由来する堆積岩です。一方、アスベストは塩基性の火山岩に由来する鉱物です。それぞれの成分は異なりますし、写真に示すように、珪藻土は無数の細孔をもつ円盤状を主体とする粒子ですが、アスベストは極めて細かい針状の繊維です。
珪藻土 アスベスト
形状 円盤状が主体 繊維、針状
拡大写真
写真 珪藻土とアスベスト
Q4
珪藻土はがん原性物質ですか?
珪藻土そのものではなく、珪藻土中に含まれるリスクアセスメント対象物の「結晶質シリカ」が労働安全衛生規則第577条の2に基づき「がん原性物質※」に指定されました(2022年)。

政府によるGHS分類での名称は「珪藻土(結晶質シリカ含有率0.1%以上のもの)」ですが、指定対象は法令名称である「結晶質シリカ」であり、これを0.1%以上含有するものすべてが対象となります。したがって、これに該当する珪藻土のみならず珪砂など政府GHS分類における化学物質名称に明記されていなくても、結晶質シリカを0.1%以上含有していれば「結晶質シリカ」として対象に含まれます。その他の鉱産物も同様となります。